NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●フランスのディエンチャンアカデミーとデンマークのインガ・ドーガン先生を訪ねて●
2018年(IMSI学院長 冨野玲子)

2018年6月、スコットランド・エディンバラで開催される英国IFPAアロマセラピー国際カンファレンスに参加するために、1年ぶりにヨーロッパへ行ってきました。1週間という短い日程ですが、折角ヨーロッパに行くのですから、あれも、これもと、楽しいプランが盛りだくさん。このコラムでは、フランスとデンマークの旅の様子をお伝えいたします。

コペンハーゲン

チボリ公園

まずは、成田空港から経由地のコペンハーゲンへ。

乗り継ぎまで時間があったので、スーツケースを押しながら、町へ飛び出しました。

向かった先は……、
コペンハーゲン市民の憩いの場、チボリ公園です。

1843年に建てられた、伝統的な遊園地。
「人魚姫」などで有名な童話作家のアンデルセンがよく通ったことで知られています。

 

チボリ公園の素朴なパレード

のどかなガーデンで散策を楽しんでいる人、子ども連れで日光浴している人も多くいました。

絶叫マシーンもあり、なかなか面白そう。

乗り物に乗る時間はありませんでしたが、素朴なパレードに遭遇できて、とてもラッキーでした。

 

エディンバラ、IFPAカンファレンス

コペンハーゲンで数時間過ごした後、その日のうちに、スコットランド・エディンバラへ。
エディンバラとカンファレンスの様子は、別のコラムでご紹介していますので、こちらをご覧くださいね。
IFPAカンファレンス報告はこちらから

 

パリのディエンチャンアカデミー

イエン先生と

カンファレンスが終了した後、その日の晩に、パリに到着しました。ヨーロッパって、1~2時間のフライトで外国に行けて、本当に便利ですね! 翌朝、真っ先に訪ねたのは、パリのディエンチャンアカデミーです。迎えてくれたのは、ディエンチャンを国際的に広めた立役者、フランス在住のベトナム人、イエン先生です。

もともとは、ディエンチャンを学ぶいち生徒だったというイエン先生。ディエンチャンの素晴らしさに感動し、これを世界に広めたいと、アカデミーを設立。あっという間に、フランス中にディエンチャンを普及させました。

毎年、フランスから一団を連れてベトナムツアーを開催するそうですが、毎回定員いっぱいで、今年は2回も開催するのだそうですよ。2019年はアカデミー設立10周年で、ビッグイベントを企画しているそうです。

 

イエン先生、アイコさんとランチ

ランチタイムは、アカデミーで一緒に学んだ、パリ在住のアイコさんも合流。「何食べたい?」と訊かれ、「ベトナム料理!」と答えると、「えー!それなら、私が作るわよ!」とアカデミーのキッチンへ消えたイエン先生。

30秒後にキッチンから出てきて、「やっぱり、外に行きましょう!」と行って、向かった先は、アカデミーの隣のイタリアン(笑)。話しているだけで、イエン劇場を観ているようで、とっても楽しいランチタイムとなりました。

子育ても、仕事もパワフルで、いつも全力疾走。フランス語はネイティブではないけれども、フランス人相手にガンガンとマシンガントークでまくし立てるインガ先生。何事にも前向きなその姿勢、見習いたいなー!

 

水晶のディエンチャングッズ

アカデミーで、見慣れないディエンチャングッズを発見! 「こ、これは……!?」と訊くと、卒業生が、水晶をベトナム医道センターに持ち込んで、特注で作ってもらった品なのだとか。

水晶のローラーは、金属とは違うヒンヤリ感で、気持ち良いのです。これなら、棒で刺激を感じた時に、瞬時に水晶で鎮静ができますね。早速購入してきました!

ベトナムでは一般家庭で活用されることが多いディエンチャンですが、フランスでは、スポーツマッサージセラピストや理学療法士、リフレクソロジストなど健康のプロフェッショナルが活用することが多いのです。

久しぶりにパリのアカデミーを訪れ、ホーチミン市のベトナム医道センターとはまた一味違うディエンチャンの一面を伺い知ることができました。

 

パリのアロマショップ

ガブリエル・モージェイ先生のスクールでアロマセラピーを学んで以来、ずっとMateria Aromaticaの精油を使っていますので、実は、精油メーカーについては、あまり詳しくはないのです……。

でも、最近ではオーガニックの質の良い精油も増えてきたようですね。せっかくの旅ですから、色んなショップに行って、実際に手に取ったり、香りを嗅いだりするのも、勉強になりますよね! 今回は、パリ在住のアイコさんにお願いして、2つのアロマショップに行ってきました。

 

HUYGENS(ホイヘンス) http://www.huygens.co.jp/

ホイヘンス

最初に向かったのは、マレ地区中心にあります、HUYGENS(ホイヘンス)というショップです。

フランスの伝統的な薬局のような佇まいに、おしゃれやアート性を加えたような、とっても、素敵なお店。ここは、「香りが良い」とか、「体に良い」というのはもちろんのこと、「アロマセラピーの楽しさ」を追求したお店なのだそうです。

 

アロマセラピーの楽しさを追及

まず、調香師のDAAN SINS(ダン・シンズ)氏がブレンドした15種類もの精油ブレンディングの中から、好きな香りを選びます。いろいろ嗅いで、鼻が利かなくなったら、コーヒー豆の香りを嗅いで、リフレッシュ。これが調香師さんのスタイルなのだそうです。

パリジェンヌの間でも、人気が高いのはやはりローズ系だそうです。ブレンディングが決まったら、クレンジング、ミルク、シャンプー、コンディショナー、ミスト、ロールオンなど、基材を選び、その場で混ぜて創っていただき、出来立てをお持ち帰りするのです。創らせてもらえるワークショップもあるそうですよ。ギフトにも喜ばれそう!

IMSIのすぐ近くにもショップがあります(パリと表参道と、2店舗のみ)。小林麻央さんも、ホイヘンスの商品を愛用されていたそうです。

 

BULY(ビュリー)  https://www.buly1803.com/fr/ (フランス語)

1803年創業という、歴史と伝統を持つ、老舗の美容薬局です。店内に入ると、アンティークなアロマキャンドルとマッチが出迎えてくれました。伝統的な手法で創られたアロマ商品や化粧品に加えて、世界各国から集めたグッズがたくさんありました。まるで、博物館のようで、見ているだけで、楽しめます。

 

クレイと植物オイル

クレイのコーナーでは、肌質に合わせてクレイと植物オイルを選び、その場で調合してくれるのだそうです。

 

手書きラベルコーナー

とても素敵だったのは、その場で、手書きでラベルを書いてくれること。

伝統的な筆記具で、丁寧に1文字ずつ書く作業は、それだけでも見とれてしまいます。

 

町のBIO(オーガニック)ショップ

BIOショップのアロマとハーブティーのコーナー

アロマセラピーの専門店に行かなくても、町の普通のBIO(オーガニック)ショップにもアロマコーナーがあります。

お土産を買うために立ち寄ったBIOショップにも、精油やハーブティーが、所狭しと並んでいました。さすがパリですね!

他にも、オーガニックのチョコレートやナッツ、ドライフルーツなど、お土産をたくさん買い込みました。

まだまだパリにはセラピストが喜びそうなスポットがたくさんありそうです。また来なくっちゃ!

 

おまけ・パリのベトナム料理店

パリには、イエン先生のように、たくさんのベトナム人が住んでいて、ベトナム料理店がたくさんあります。ランチは、ベトナム人、フランス人両方で賑わっている地元の人気店へ行ってみました。本場の料理がたくさんあって、メニュー選びに迷ってしまうのですが、初めてのお店ですので、定番のフォーをいただくことに。

麺は、どこ?というくらい、ボリューム満点。お味も、スターアニスやシナモンなど、天然のスパイスの味がきいていて、本当に美味しかったです。12時ちょうどに行ったらギリギリ座れて、店を出る頃には、行列していましたよ。また行きたいところが、増えました〜! パリを案内してくれたアイコさん、ありがとうございました!

 

デンマークのインガ・ドーガン先生を訪ねて

再びデンマークにやって来ました!夜遅いフライトだったに関わらず、インガ・ドーガン先生がビルン空港まで迎えに来てくださいました! ビルンは、有名な玩具メーカーレゴ本社とレゴランドがある企業城下町。ここから、1.5時間のドライブで、インガ先生の住む町に到着です。

 

インガ・ドーガン先生と

この方が、世界で最も有名なリフレクソロジストと言われるインガ・ドーガン先生。

何故有名かと言うと、「南アフリカで、リフレクソロジーを国家資格に導いた立役者」だからです。「資格の種類をグレードアップさせた」というのはもちろんですが、インガ先生の功績は、リフレクソロジーの治療的効果を証明し、実際に、多くの患者さんを救って来たことだと思います。私の滞在中も、アラスカで来年開催される国際リフレクソロジーカンファレンスから招待状が届いていました。

インガ先生は、もともとはデンマーク人。南アフリカの男性と結婚したことがキッカケで、南アフリカに渡りました。

現在は、1年のうち、半分ずつ、夏はデンマーク、冬は南アフリカという、とても羨ましい生活をしていらっしゃいます(南アフリカは南半球のため、冬は暖かく夏が寒い)。

 

町は、道が広くて、お店も家も全て広々として、人々がなんともリラックスしている様子。「ここは、南アフリカとは、正反対で、とても安全。南アフリカでは、こんな風に外に商品を出していたら、一瞬で全部無くなっちゃうわよ。アッハッハ。」と笑いながら、町を案内してくださいました。

 

約40年も南アフリカで暮らしてきたインガ先生。以前、南アフリカにいるインガ先生を訪ねた時は、何度も強盗に入られたり、危ない目に合ったりしたという苦労話をたくさんお聞きしました。それでも、異国の地でリフレクソロジーの普及に努めてきたインガ先生は、今はリラックスして、里帰りを楽しんでいらっしゃるのですね。

町を散策して、少し歩き疲れたら、カフェでひと休み。とっても美味しいカフェラテと、キャロットケーキをいただきました。「このカフェラテ、香りが高く、そして、全然胃にもたれない……」と思っていたら、オーガニックコーヒーとオーガニックミルクなのだそうです。おお、すごい! 日本だったら、オーガニックなら絶対に「オーガニック!」と誇らしげに書いてあるはずが、ここでは「さりげなくオーガニック」なのですね。¥

 

デンマークのスーパーマーケット

インガ先生に、地元のスーパーマーケットに連れて行って頂きました。
ここには、オーガニックの野菜や果物、キノコなどがたくさん!

よく見たら、食べ物だけではなく、洗剤、ベビーフード、オムツ、お尻拭き、生理用ナプキンまで・・・オーガニックのものがいっぱい! いいな! 私は、娘のオムツやお尻拭き、ベビーフード、粉ミルクなどを探すのが本当に大変で、国内では気に入ったものを見つけることができませんでした。
デンマークでは、普通に、最寄りのスーパーに行けば、質の良い物が見つかるのですね!

 

オーガニックの洗剤と、そうではない洗剤

もちろん、普通のスーパーですから、オーガニックではないものも売っています。某アメリカ系の清涼飲料水とか……。人々に選択肢があるのですね。

「オーガニックは高い」と言う人もいますが、高いのなら、量を控えて、チビチビと使えば良いのだと私は思います。

地球環境に良いことは、身体にも良いこと、地球環境に悪いことは、身体にも悪いこと。「ここでは、食べ物、飲み物、着るもの、身体に付けるもの、ホームキーピングで使うものなど100%オーガニックライフが可能なのよ!」と、インガ先生が教えてくれました。う、羨ましい……!!!

 

インガ先生の手料理とオーガニックライフ

海の多い国、デンマーク。インガ先生のアパートからも、歩いて数分で海に行けます。ハマナスの花も、キレイに咲いていましたよ。ローズヒップの実も育っています。

 

港のフィッシャーマンズマーケットで、採れたての白身魚を購入。夕ご飯は、なんと、インガ先生がお手製で作ってくださいました!

メニューは……、
アスパラガスとグリーンピースのソテー。
白身魚のムニエル。
主食は、スルッと手で皮が剥ける、旬のジャガイモ。天然の塩を付けると、いくらでも食べられるほど、美味しいのです。
デザートは、中まで真っ赤なイチゴでした!

 

これぞ、セラピストの見本!

とってもヘルシーで、たくさん食べても絶対に胃にもたれない! こういう食事をいつも摂っていると、心も穏やか、身体も健やかでいられるのでしょうね。

「セラピストは、単に施術をする人ではなく、健康になる方法をクライアントに教えてあげなければならない」と、インガ先生はよく言っています。それには、まずは何より、自分自身が健康でいることが重要です。

インガ先生は、リフレクソロジーと出逢って40年近く、一度も病院に行っていない、健康保険にも入っていないのだそうですよ。

 

インガ先生の朝ごはん

そして、インガ先生のおうちの朝食は、こちらです。

ギリシャヨーグルトにタップリのフルーツ、シードミックス、甘みはモルトシロップ。

これらも全部その辺のスーパーで普通に売られている「オーガニック」。

 

冷蔵庫のミルクたち

冷蔵庫には、牛乳、アーモンドミルク、ココナッツミルクが常備。

もちろん、全部オーガニック。オーガニックの牛乳は、「そうそう、これがホントの牛乳だ!」という味でした。

 

おやつのナッツと殻を割る道具

テラスで日光浴と鳥の声を楽しみながらいただく朝食は、最高でした!

 実は……、アレルギー体質の私、日本では乳製品を控えていたのですが、ここでは解禁しても、全然大丈夫! 日本で具合が悪くなるのは、きっと質の問題なのでしょうね……。

おやつは、ドングリ!?と思いきや、ヘーゼルナッツなのだそうです。専用の道具で、殻を割って食べます。

日本ではよくナッツを食べていますが、殻付きのフレッシュなナッツは、本当に美味しかったです。

 

インガ流のライフスタイルを目指します!

オーガニック尽くしに大興奮の私に、最後は「コペンハーゲン空港行きの列車の中で食べなさい」と、手づくりのお弁当まで持たせてくれたインガ先生。この女子力、見習いたいです!

1年のうちの半分をデンマークで過ごしているインガ先生ですが、バカンスで来ている訳ではありません。スカイプやE-learningシステムを駆使して、南アフリカのスクールと連絡を取りながらバリバリと仕事をこなし、執筆活動を続けていらっしゃいます。

今回の旅の最後は、シニア世代になっても、心身共に健康的に、リラックスして、心地良く暮らしながら、仕事をし続けている、インガ流のライフスタイルを学ばせていただきました。羨ましがるだけでなく、何か行動しなくっちゃ! 来年は、是非インガ先生の来日セミナーを実現させたいと思います。

 

おまけ・SAS(スカンジナビア航空)の機内食

帰りの飛行機の中で、ビックリ仰天。コペンハーゲン発のSASの機内食にも、オーガニックマークが! 黄緑の四角いマークがEUのオーガニック認証で、赤く丸いマークがデンマークのオーガニック認証です。このさりげなさが、とても良いですね。オーガニックがこんな風に当たり前になると良いですよね。すっかりデンマークが大好きな国になり、次回ヨーロッパに行くときもSASで行こうと決めました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 
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